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西安名物麺は驚きの食感

冷たいリャンピーと土鍋煮込みと、モモ
 メニューを見ると、食べたいと思っていたビャンビャン麺はなかった。でも選択肢はたくさんあって、西安名物の伝統的な麺「リャンピー(涼皮。中国語では凉皮)」に、こちらの店では“モモ”と名付けてあるサンドイッチ、土鍋煮込みと、麻婆豆腐なんかを合わせたごはんものが列記されている。

 改装前に食べていたこちらの麺には、ともかくおなかが膨らむ記憶があった。ビャンビャン麺がその筆頭だったから、今日はその心配はないにしても、やはり少し慎重になる。それでも麺は食べたくて、“クラシック”と枕詞のついたリャンピーは注文決定。字のごとくリャンピー“凉皮”は冷たい麺だから、他に温かいものがいいね、と土鍋煮込みをひとつ。前菜は温かいものと、ギョーザを始めどれも粉もの。それで冷たいものの中から、キクラゲの黒酢あえを頼むことにした。

 隣の隣のテーブルには30代後半くらいのいまどきおしゃれカップルが待ち合わせていて、ふたりでリャンピーの器を真ん中にシェアしながら食べている。こういうときフランス人は取り皿を頼まずに、ひとつの器からそのまま分け合って食べていることが多い。いつからこんな光景をふつうに見かけるようになったかなぁ。パリでも10区は新しいスタイルの食の店が最も増えている場所だけに、客層も新たな潮流に対し敏感な人たちが占めている。にしても、だ。変化は著しい。



  

 当然、キクラゲの一品から出てくるだろうと思っていたら、最初に登場したのはリャンピーだった。この麺、幅は7〜8ミリだけれど、結構厚みがあって5〜6ミリくらい。断面はほぼ真四角で、食べるとちゅるんちゅるん。なんだろう? この唇にあたったときの感触と舌触りは。この“ちゅるん”を思い出そうとしたら、葛切りが浮かんだ。

 かむとまた「初めて」と思える食感で。ただもちっとしているだけじゃない。かんだときにも、“ちゅるん”からつながる“ぷりんっ”とした感覚があった。味付けはバンバンジーのタレのようなゴマだれで、キュウリとモヤシが乗ったシンプルな麺なのだけれど、日本以外で、のど越しとか舌触りを大事にする麺はこれまで体験したことがないんじゃないかなぁ。なんだかとても新鮮。



  

 一見、特に発見のなさそうなリャンピーに驚かされていたら、土鍋が出てきた。土鍋料理はシェフのオリジナルスープに、鶏肉、キクラゲ、五香粉で風味付けされたお豆腐、ところ天のような四角くて細長い海藻に白菜などの具が煮込まれたものと、それに合わせる炭水化物を4種から選ぶようになっている。この選択肢が、サツマイモの粉で作った麺、米粉の細麺、中国風うどん、中国パン、とどれも少しひねりがあるもの。サツマイモ粉の麺には大いにひかれたが、おなかが張るかなぁと思い米粉の細麺にした。

 食べてみると米粉麺もつるつるっと口に滑り込み、冷や麦の兄弟のような印象だ。この土鍋麺、少しスパイシーでさらっとしたスープに、フレッシュなコリアンダーがふんだんに盛られているのも手伝って、するするとおなかにおさまっていく。そこで出された前菜のはずのキクラゲのあえ物も、黒酢が効いていて箸休め的な存在となり、これはおなかが張るどころか、物足りないかも……という思わぬ展開になった。



  

 それで「やっぱり、モモ(サンドイッチ)も食べたいかも」と言うと、「どうぞどうぞ」と万央里ちゃん。「あ、じゃあさ、ベジタリアンにしてもらっていい?」と言うので、もちろん!と、追加で注文。同時にゴマ風味のデザートも頼んだ。



  

 サンドイッチをひと口かじって、ん? と止まった。これまた食べたことのない食感だ。パンが硬いのだ。おせんべいのちょっと手前というくらい。ふわっとした点がなくて、まったく膨らし粉が入っていないんじゃないかと思われた。五香粉風味のお豆腐と卵焼きが挟んであり、かかっているタレはまさに照り焼きソース。ちょっとジャンクな甘みのある味付けが、ちょびっと物足りなさを感じていたごはんの締めとして、ぴったりな役割を果たしてくれた。



  



  

 新しくなったメニューには、ベジタリアンプレートの表示もあり、グルタミン酸なしとも明記され、いまの風潮が反映されている。働いているスタッフも若く、お茶はなんだか小じゃれた茶こしをともなって運ばれてきた。私は中国本土に行ったことがまだない。西安の若者がごはんを食べにいくお店はいま、こんな感じなのかなぁと思いながら、デザートをつついた。