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【中国に行ってみよう!】 第三回 西安篇——城壁

西安には城壁があります。

現存するものは、明代に唐の皇城跡に造られたもので、唐の時代の城壁の1/9しかないそうです。

それでも周囲は約14km、高さも約12mもある、大変立派なものです。

西安の咸陽空港から市内のホテルに向かう途中、城壁が見えてきます。

ああ、長安に来たなあと思います。

今、見ている城壁が唐代のものではないと分かっていても、場所が異なることがわかっていても、長安にたどり着いた遣唐使の気分を一瞬味わえます。

しかし、ああ長安だと、思った次の瞬間から、乗っているバスが止まり、気が付くと渋滞にはまっています。

城壁は西安のシンボルですが、これがあるために中心地の道路の開発に制限がかかり、城壁内を通る道はいつも渋滞。

予定していた観光ができるだろうか、夕食の予約時間に遅れないだろうかと心配が噴出し、いっきに現実に引き戻されます。

西安は何度も訪れていますが、毎回このパターンです。。。

この城壁の素晴らしいところは、城壁の上を歩けることです。

電動カートやレンタサイクルも利用できます。

なんと毎年、城壁の上を走るマラソン大会も開催されているのです。

戦闘のために作られた広々とした城壁の上は、今や、世界中の人が観光やマラソンを楽しめる憩いの場所に生まれ変わりました。

平和な時代に生まれてよかったとつくづく感じます。

私は城壁を一周はしたことがないのですが、東の長楽門から西の安定門まで4kmほどでしょうか、歩いたことはあります。

城壁の上は12〜14mの幅があり、のんびりゆったり歩くことができます。

石の道なので歩きやすいとは言えませんし、ときどき穴も空いていて危ない部分もありますが、城壁の上から城内の街を覗いたり、鐘楼の写真を撮ったりしながら、季節の良い時期にブラブラ歩くのは、大変気持ちの良いものです。

旅の始まりは西門。旅の終わりも西門。西門はシルクロードへ続きます。

漢の外交使節として派遣された張騫は、うだつのあがらない小役人からの脱出を試みたのか、未知なる世界への憧れか、漢の武帝の求めに応じて、国の期待を背負って大月氏をめざし、意気揚々と西門を出発したことでしょう。

玄奘三蔵は天竺へ教義の原典を求めて密かに唐を出国。

西門から堂々と出たわけではないでしょう。

しかしながら、帰国時には太宗皇帝に手厚く出迎えられました。

太宗皇帝は国境近くまで出迎えの使者を出したそうですから、きっと西門では、国じゅうの人に歓迎されたことでしょう。

そんな物語に思いを馳せながら、西門の正楼にある土産物屋に入ります。

目的はショッピングではなくて、正楼にある窓から、西に伸びるシルクロードへの道を見るためです。

勇気と夢に溢れた青年たちの熱い思いに思いを馳せ、まっすぐ西へ伸びる道を見ながら、周囲に並ぶお土産には目もくれず、歴史ロマンに浸ります。

でも、売り子さんたちのセールスの声にロマンもかき消されちゃうのですね。残念。

本当の出発地点だった唐代の西門の場所には、記念の「絲綢之路起点群像」があるそうです。

現在の西の門の一つである玉祥門の、さらに3km西だそうです。

でも、やはり、城壁がある方がロマンに浸れますね。(渡辺直子)